◎ 妊婦健診でよく質問される「赤ちゃんに異常ありませんか?」について


真面目に、細くお答えすると大変長くなりますので、なるべく(これでも)短くお答え致します。

一番簡単にお答えしますと、「赤ちゃんの異常を探す目的では、妊婦健診の超音波検査は行っていません」となります。どういう事でしょうか。

それは、妊婦健診で行う超音波検査は、妊婦さんが健康に妊娠を継続しているか・妊婦さんが今の状態であれば異常なくお産をむかえられるか、に主眼をおいた検査だからです。
つまり、赤ちゃんが成長しているか(経過が順調であるか)や赤ちゃんの向き(このままお産をむかえても大丈夫か)を確認したりする事が、通常の妊婦健診で行う超音波検査という事になります。

では、赤ちゃんの異常を見つけるための超音波検査とは何でしょうか。それは「胎児超音波」とか「胎児スクリーニング」とか言われる検査になります。使う機器は同じですが、その目的が異なるため、より高度な「腕」が必要となります。また、一部の特殊な内容を見る場合に保険の適応となるなど、通常の妊婦健診の超音波検査とは内容が全く異なります。

とはいえ、お腹を超音波で診るという行為は同じであり、また、診る部位も同じです。ですから、通常の妊婦健診で超音波検査をやっていても、偶発的に赤ちゃんの異常が見つかる事があります。ですので、それをはじめから目的としていなくても異常が見つかる事があるのです。

とらのこ産婦人科では、いわゆる「胎児超音波検査」は行なっておりません。しかし、分娩を取り扱う施設として、お産の直後に具合が悪くなる事が予想される赤ちゃんだったり、特殊な治療を要するであろう赤ちゃんは、やはり適切な診断のもと管理され、安全にお産ができる施設へ紹介されるべきと考えています。そのため、妊婦健診にて行う超音波検査の際、可能な限り胎児の情報は集めており、それをスタッフ間で共有できるよう工夫をしています。
ですので、「赤ちゃんに異常はありせんか?」というご質問には、「赤ちゃんの異常を探す目的では、妊婦健診の超音波検査は行っていません」としかお答えできないのですが、その行間には上記のような内容が込められている、とご理解頂ければと思います。

稲毛とらのこ産婦人科
院長  渡邉征雄